文庫本『江戸川乱歩傑作選』の「屋根裏部屋の散歩者」って名前の作品だったかなあ

主人公がさ、何をしても仕事が長続きせずにふらふらして、そもそも自分に天職というものは
存在しないのかもしれないと思うようになると、働くこともやめてさ

とにかく刺激を求めて、街中で女装してみたりするけどそれも直に飽きて
自分のことを「退屈」という名前を持った動物と卑下してさ
その主人公はいよいよ犯罪に快楽を見い出しちゃって、最後は明智小五郎名探偵にあばかれちゃうんだけれども

何が興味深いかというと
江戸川乱歩がこの作品を書いてたのは1970年代なんだよね
この時期の日本って、ばりばりの高度経済成長期でしょ
その時代でも、当時こういう思考が存在していたということはさ
自分を持て余してくすぶる虚しいっていう感情は大なり小なりどの時代にも普遍的に存在するものなのかもしれん