>>25

恥の多い生涯を送って来ました。
 自分には、人間の生活というものが、見当つかないのです。
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……いや、それもわからない、……考えれば考えるほど、自分には、わからなくなり、自分ひとり全く変っているような、不安と恐怖に襲われるばかりなのです。
自分は隣人と、ほとんど会話が出来ません。何を、どう言ったらいいのか、わからないのです。
 そこで考え出したのは、道化でした。
 それは、自分の、人間に対する最後の求愛でした。自分は、人間を極度に恐れていながら、それでいて、人間を、どうしても思い切れなかったらしいのです。
そうして自分は、この道化の一線でわずかに人間につながる事が出来たのでした。おもてでは、絶えず笑顔をつくりながらも、内心は必死の、それこそ千番に一番の兼ね合いとでもいうべき危機一髪の、油汗流してのサーヴィスでした。

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