なぜ監督官たちは人間を虫けらのように扱って平気でいられるのか、被収容者たちはどうやって精神の平衡を保ち、または崩壊させてゆくのか。

こうした問いを突きつめてゆくうち、著者の思索は人間存在そのものにまで及ぶ。

というよりも、むしろ人間を解き明かすために収容所という舞台を借りているとさえ思えるほど、その洞察は深遠にして哲学的である。


「生きることからなにを期待するかではなく、……生きることがわたしたちからなにを期待しているかが問題」