米上院情報特別委員会は八日、イラク攻撃の理由になった、旧フセイン政権と国際テロ組織
アルカイダの関係を裏付ける証拠はないとの報告書を公表した。

ブッシュ政権は、米中枢同時テロ事件を首謀したとされるアルカイダとイラクとの関係を主張して
いたが、これをあらためて否定、十一月の中間選挙を前にイラク政策の正当性を訴えるブッシュ
政権には大打撃となる。

報告書は、サダム・フセイン元大統領と、アルカイダを率いたウサマ・ビンラディン容疑者との関係に
ついて、旧政権の元閣僚の米連邦捜査局(FBI)に対する証言を引用し、「フセイン元大統領は
ビンラディン容疑者に対し、否定的な思いしか表明していなかった」と指摘。

フセイン元大統領は、アルカイダを自分の政権にとってむしろ脅威だと感じ、信用していなかったとの
見方も示した。

また、ビンラディン容疑者に忠誠を誓い、「イラク聖戦アルカイダ組織」を率いたザルカウィ容疑者
(今年六月死亡)がイラクに潜伏していた二〇〇二年当時、旧フセイン政権はとらえようとし、
かくまったりなどはしなかったと分析。

ブッシュ政権はザルカウィ容疑者がイラクにいたことなどを証拠に、旧フセイン政権とアルカイダの
つながりを主張していたが、報告書はこれを否定し、「旧フセイン政権とザルカウィ容疑者との関係は
ない」と結論付けた。

米中枢同時テロ事件へのイラクの関与についても、「旧フセイン政権が共謀したという信用できる情報
はない」とした。

また、報告書はブッシュ政権がイラク攻撃の別の理由に挙げていた大量破壊兵器の存在についても
あらためて否定した。

同委員会は、〇四年七月の報告書でも関係を否定しており、スノー米大統領報道官はAP通信に対し
「新しい事実はない」と述べるにとどめた。
ニュースソース
http://www.chunichi.co.jp/00/kok/20060909/eve_____kok_____003.shtml