<岐阜5人死亡>病院側、死因は「病死」 熱中症に触れず
8/30(木) 11:34配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180830-00000036-mai-soci

Y&M 藤掛第一病院=岐阜市一番町で2018年8月28日、沼田亮撮影


 岐阜市のY&M藤掛第一病院に入院していた高齢患者5人が26日夜から28日夜にかけ、熱中症の疑いで相次いで死亡した問題で、病院側がいずれも死因を病死と判断していたことが30日、捜査関係者への取材でわかった。岐阜県警は業務上過失致死の疑いもあるとみて、司法解剖して死因について調べを進める。

 県警岐阜中署によると、死亡したのは83〜85歳の男性3人と女性2人。病院側は死亡診断書で死因を多臓器不全や心不全などとし、熱中症との関係には触れていないという。医師法は遺体に異状があれば24時間以内に管轄の警察署に届け出なければならないと規定しているが、病院はいずれも死亡に不審な点がないと判断したため警察に通報しなかったとみられる。

 同病院は移動などで介助が必要な高齢者の治療を行う「老人医療」を専門としている。岐阜市に対する説明では、病院では通常、月に2〜7人が死亡しているが、8月にこれまで死亡したのはこの5人だったという。

 市などによると、各階には温度計と湿度計が置かれ、看護師が定期的に記録していたほか、夜間は看護師と看護補助者各1人が当直勤務し、2〜3時間ごとに巡回して重篤患者については1〜2時間ごとに脈拍や体温などを記録していたという。

 病院では20日に3、4階のエアコンが故障し、一部の患者をエアコンの使える2階に移したが、5人のうち4人は26〜27日に相次いで死亡するまでエアコンの故障した病室にいた。病院は病室に1台ずつ扇風機を置いて対応していた。28日夜に死亡した84歳男性も、27日に2階に移されるまで3階にいた。

 県警は5人のうち一部の司法解剖を終えた。押収したカルテや患者の体温などを記録した書類などを分析して、生前の病状や当時の室内環境などから熱中症と死亡の因果関係を調べる。

 市は5人の死亡を受けて28、29両日、医療法に基づく立ち入り検査を2度実施し、療養環境の改善を指示した。市の指示を受ける形で病院側は29日、3、4階は病室に残っていた7人の患者全員をエアコンのある新館に移動させた。3、4階はエアコンが故障したままだが、現在は病室に患者はいないという。【沼田亮】
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最終更新:8/30(木) 16:07
毎日新聞