>>82の続き)

もう一つ俺の心に残っている読書好き人間のエピソードは、やはり
小学生の頃、算数の文章題でしばし時間を忘れた人の話だ。

その文章題というのは、春のある晴れた日にピクニックにみんなで行ったが、
その時持って行ったのはリンゴが三つとミカンが四つでとか何とかいうもの。

ところが、「春のある晴れた日にピクニックにみんなで行って〜」まで読んだ
瞬間、その人の頭の中には、陽光に照らされ、美しい花々が咲き誇る花野が
浮かび、その美しさと心地よさで頭がぼうっとなってしまって、しばしの間
問題を解くのを忘れたという。
(続く)