>>113の続き)

朔太郎の44歳といえば、すでに日本近代詩、口語自由詩のチャンピオン
として名声を確立していた。
しかし、この詩にうかがわれるように、俺と同じような?虚無主義者で
一人暮らし。

暖房設備のないアパートで寒さにふるえながら眠るとは、何年か前の俺の
ことかと思うが、俺は、昼間っから酒を飲んだり、寝てたりはしなかった(笑)。
(もっとも、朔太郎には、訪うてくれる友がいたようであるが)

朔太郎は「わが生涯は過失であった」とも、自分の最後の作品となる散文詩の
中で書いている。
人生の最後まで、自分が敗残者、落伍者であるという意識につきまとわれていた
ようである。

(たぶん続く)