>>202
「父上が、この手紙をお読みなら
それはきっと、私の努力が無に帰した後でしょう。
今、宮中では、私が王座を狙っていると噂されています。
父上もまた、何者かの告発を信じ
私が仲間を集め、謀反を企てているとの噂を、 お聞きになったでしょう。
確かにその噂は事実です。

私が無実であることを知っていた老論派は
私を謀反の張本人に仕立て上げようとしたのです。
あの時、何も言わなかったのは
挙兵を断念した仲間を売り、命乞いをしたくなかったからです。
その瞬間、私を信じようとしない父上に、恨みを覚えたものです。
ですが今振り返ると、すべてが激しく後悔されます。
今になって初めて…父上にお会いできない今になって
不忠を重ねた自分の愚かさが悔やまれ、胸が裂けそうです。
ですが父上、分かってくださいますか
口には出しませんでしたが、心ではいつも父上を思っていました。
信じていただけますか
父上を、一度も喜ばせられなかった親不孝者でしたが
そんな私を許していただけるなら
最後に、父上に切にお願いしたいことがあります。
王世孫を守ってやってください。
私の息子だというだけで、苦難の道を歩むことになる王世孫です。
あの子だけはどうか…守ってやってください。」