―[独身中年男性はなぜ狂うのか?]―

独身のまま中年になるともれなく狂うー。世間に流布されるこうした言説は、果たして本当なのか?

「46歳の息子がSNSでの誹謗中傷で開示請求されました。子どものころは、気弱でしたが優しい子だったのに……」

「仕事一筋だった50代の上司が突然パチンコにハマり、会社に出社しなくなって一日11時間も店にいるようです。注意してくれる家族もいないみたい」

40~50代を中心に“狂った”男性の報告が増えている。彼らに共通しているのは「独身」だ。

この現象について『世界一孤独な日本のオジサン』の著者・岡本純子氏はこう語る。

「独身だから狂うというより、孤独な状態が人をおかしくさせるのです。孤独感を埋めるのに結婚は必ずしも必要ありませんが、今の日本の社会では未婚のほうが孤独を感じやすい側面はあるでしょう。

絶望的な孤独が恒常化すると、自分を正当化しようとする認知的不協和が働いて人嫌いになり、攻撃的・反社会的な性格になりやすいというデータもあります」

孤独は体にも悪影響を及ぼす。孤独な男性はそうでない人に比べ、認知機能の低下が20%ハイペースになり、心疾患リスクは29%上昇、早死にリスクは50%上昇する※というデータも存在する。

※早死にリスク50%上昇とは、一日にタバコを15本吸うことやアルコール依存症であることに匹敵。(出典:『世界一孤独な日本のオジサン』)

また、脳神経外科医の奥村歩医師は、独身で狂ってしまうパターンのひとつとして思い込みの強さを挙げる。

「“独身=狂う”ではありませんが、『独身がハンディ』という強い思い込みが脳過労やセロトニン不足を引き起こし、うつ状態に陥りやすくさせるのです。また、アルコールやギャンブル依存、スマホ依存などを伴いがちです」

独身のなかでも孤独で思い込みが強い人ほど“狂う”リスクは高くなるのだ。



なおT様ととくさん