…が、友達も彼女もいない俺は自分と家族以外の写真を1枚も持っていなかった

「困ったな、さすがにおとんやおかん型のタルパは嫌だし…」

生まれつき性根がクソザコナメクジだが変なところで楽観的な俺は後先考えずに自分の写真を使うことにした
今になって思えばこれが全ての間違い… 否、間違いか正解かは判らない
いつだって是非は歴史が決めるものであり、この時の俺にはこれが最善の選択だったろうから…

俺「ちょっと見てくれよ、1位の部隊いるだろ? これ万年1位なんだぜ!
戦競神って呼んでるんだけどマジで神ってか鬼神の如く強い、いつか倒して戦競王になるのが俺の夢なんだ!」
写真「……」

俺「その下にいる天然オイル100、この部隊も侮れない! 何が侮れないかって味だよ味!
カレーにイチゴにチリに黒胡麻、さらに緑まめたんはサラダ味と来たもんだ!
おまけに金まめが黒焦げになってる時があるから油断もできないんだぜ!」
写真「……」

俺「誤廃棄とうっかりミスで同じ装備品と復活剤を何度買ったか思い出せないよw
こないだも郡山を119歳で他界させちまったばかりだからねw」
写真「……」


〜四六時中、壁に掛けた自身の写真に話しかける日々〜
その常軌を逸した行動に気づく者も無ければ咎める者も存在しない
この閉鎖された部屋は紛れもなく異世界のそれであろう
パラレルワールド、別の時間軸、幾多と在る決して交わることのない平行世界…
そう、この物語は無数に枝分かれする人生の進行ルートの一つである