カニクリームコロッケ、人を殺す。
 ただひたすらに残虐な方法で、人を殺す。

 公園の人間はおよそ80%が彼らの餌食になった。そして餌食になった人間はそれだけではない。
 この街に襲来したカニクリームコロッケ、数千体。
 それらは地に降り、人を捕らえ、自らの高温の体に突き刺していく。会社、商店街、市役所。人の集まるところに行き、虐殺を行った。
例えどこに逃げようと、彼らはその屈強な鋏を使い、人間を捕まえる。建物の中には居れば地道に壊し、入り込む。そして捕まえ、熱死させるのだ。

 どんな人間であろうと。

 小学校、幼稚園、老人ホーム、病院。どんなに非力であろうと、どんなに幼くとも、カニクリームコロッケは人間を見つけ次第捕らえ殺した。歩けぬ者も、生後数か月の者も、己が何者かすらわからなくなってしまった者ですら。
 それが、どんな人間であろうと。


 カニクリームコロッケ、空を飛ぶ。
 その体に多くの人間を入れ込んで。

 醜く歯を食いしばり、目からあらん限りの涙を流した人の顔が、奴らの体から飛び出している。カニクリーム一体にそれがおよそ5人。そしてそんなカニクリームが数千体、空を飛ぶ。
 この日街の人口は3割にまで減った。残された人達は。もはや泣く気力もなくただただ立ち尽くすのみだった。