日本人はなぜ「論理思考が壊滅的に苦手」なのか
「出口治明×デービッド・アトキンソン」対談
https://toyokeizai.net/articles/amp/288272?page=3

出口:日本のマネジメントがダメなのは、データを軽視し、
自分の経験(エピソード)や思い込みだけで物事を判断してしまうからだと思います。
例えば、いま世界を席巻しているのは、GAFAでありユニコーンですよね。しかし、
そういう企業を強欲資本主義の象徴だと思っている日本の経営者がいっぱいいます。

僕はそういう人たちに、よくGoogleの人事部の話をします。Googleの人事部は
社員の管理データのうち、国籍・年齢・性別・顔写真、これらすべてを消してしまったそうです。
そんなものは必要ないからと。

人事を決めるのに必要なのは、今やっている仕事と過去のキャリアと将来の希望だけ。
男か女か、歳はいくつだとかは一切関係ないというのが彼らの考え方で、
こちらのほうがはるかに人間的です。世界の優れた企業は社員をとても大事にしている、
だからこそいいアイデアがどんどん出てくるという好例だと思います。

日本の会社は社員を大事にしていると思っている経営者が少なくありませんが、
それは本当でしょうか。きちんとデータで確認した人はいるのでしょうか。
僕には単なる思い込みであるとしか考えられません。

アトキンソン:日本という国のマネジメントを行っている役人も、思い込みに縛られて、
楽観的というかはやり言葉に流されて、考え方が甘い傾向があります。

以前、霞が関の会議に出席した際、
「ロボットとAIなどの日本の最先端技術によって、日本経済は復活する」などと話して
いました。ですが最先端技術は、ずっと以前からあるのです。それが今まで普及して
こなかったのはなぜかという産業構造の問題を検証することなくそんな主張をされても、
論理が通っているとは思えません。

たとえ最先端技術があっても、誰も使わないならないのと同じです。
「普及」こそが問題なのです。AIさえあればうまくいくというのは、
念仏さえ唱えていれば極楽浄土に行けるという話と変わりません。
しかも、それに気がつく人すら誰もいない。で、私が自分の意見をぶつけてみると、
何か「宇宙人が来た」みたいな反応されました。

その会合の後で「さすが外人さんは見る目が違いますね」といったことを言われたのですが、
外人だから考え方が違うのではありません。手前味噌ですが、「脳みそを使っている人」と
「使っていない人」の違いなのではないかと最近よく思います。
国籍が違うのはたまたまです。