カーツワイル氏の不老不死に関する何度も何度も外れた予言

カーツワイル氏は、20年後には人類の平均寿命は100歳を超え、30年後には120歳を超えると主張しています。
ただし、これは1999年の『スピリチュアル・マシーン』の中の予測です。つまり、ここで言われている「20年後」は2019年、
「30年後」とは2029年を意味しています。2018年現在の平均寿命を確認してみれば、
先進国に限っても85歳程度に留まっており、近い将来において平均寿命が10年単位で伸びる合理的な理由を想像することはできません。
そして、カーツワイル氏は、更に大胆に「10年以内に、人間の余命は1年ごとに1年以上延長され、
死は遠ざかっていくと信じている。」と発言しています。

カーツワイル氏に対する辛辣な批判者であるダグラス・ホフスタッター氏は、2008年に自身の新刊に関するインタビューの中で以下のように述べています。

レイ・カーツワイルは、自分が死ぬ運命にあるのを恐れており、死を避けたくてたまらないのだろう。彼の生命への執着は私も理解するし、
執念の強烈さにはいくらか心を動かされるけれども、それが彼のものの見方を歪めてしまっているのだと思う。
私が考えるに、カーツワイルの絶望的な望みは、彼の科学的客観性を深刻に曇らせてしまっている。

医療と寿命に関する「予測」においては、「願望」と「目標」と「予測」が著しく混同されているように見えます。
永遠に生きたいという願望を持つことそれ自体は、否定できるものではないでしょう。
そして、実現できないかもしれない高い目標を掲げ、そこへ向かって努力すること自体も、悪いことであるとは思いません。
けれども、自分の願望や目標を未来の「予測」として提示することは、誤りというだけではなく、極めて不誠実な行為であると考えています。