「生命のデジタルデザイン」を目指す
深圳のバイオテック企業
https://wired.jp/series/away-from-animals-and-machines/chapter3-2/
「生命のデジタルデザイン」を標榜し、地球上のあらゆる生命のDNA解析に挑もうとしているバイオテクノロジー企業BGI。
その事業を通じて、かれらは人間だけではなく、動物や機械までをも含んだ「生物圏」のあり方を問い直そうとしている。

「わたしたち生物にとっての唯一の言語は、DNAです。人間、動物、植物さえもDNAに基づいています。 そのDNAを解読できるならば、世の中のすべての生物をつくり出すことができる。
すでにBGIは地球上の生命の70パーセントのDNA解析を終えています。将来的には地球上のすべての生命のDNA解析を完了し、生命のデジタルデザインができることを意図してます」

生物圏のあり方を問い直そうとする尹は、人間の機械化についても独自の考えをもつ。

「人間を含む多くの生物は、炭素によって組織ができています。しかし、AIの主な組織はシリコンに近い。これはとても面白いと思います。
生物とAI、つまりは炭素とシリコンは近くなっていくでしょう。たぶん、それらが融合する未来がやってきます。
しかし、わたしたちはシリコンについては理解しているけれど、生物についてよく知りません。
生物のゲノムにはまだ不明な点が多くあり、それを解き明かしていくことが求められているんです」

「AIは脅威ではない」と考える尹はバイオテクノロジーが発展していくなかで、もうひとつの危険性についても考えを教えてくれた。
わたしたちが恐れるべきなのは、バイオテクノロジーがもたらす恩恵が一部の富裕層に独占されることだという。

「ゲノムのデータベースが強大になれば、多くのメリットを享受できます。多くの人々が自身のDNAデータを共有するのは、わたしは危険ではなく安全だと考えます。
最も危険なのは、少数のお金持ちがデータを独占してしまうこと。テクノロジーはあらゆる人々に開かれ、全員が恩恵を受けられるものであるべきなんです」