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次に来るものは?

 現在のロボット化の波は、1970年代に規制緩和が進んで以降、米国が敬遠してきた計画的な経済運営を必要とする。こう主張するのは、フリンダース大学のオーストラリア産業改革研究所のジョン・スペアー所長だ。

 米国が短期的な雇用崩壊に直面しつつ、セーフティーネットを拡大するために、あらゆる種類の提案が行われている。
マイクロソフトの共同創業者で慈善活動家のビル・ゲイツ氏は、ロボットに課税することを提案する。
シリコンバレーでは「ユニバーサル・ベーシックインカム(全国民向け最低所得保障、UBI)」構想が支持されている。
米国初のUBIの試験運用がカリフォルニア州ストックトンで行われる予定だ。貧困層に無条件で月500ドル(約5万6000円)を支給する。

 こうした提案は控えめに言っても何かと物議を醸している。また大恐慌がなければ、ニューディール政策に着手することもなかっただろう。21世紀の政策を変えるために、破壊的状況がどのくらい必要なのかは定かでない。

 その間にできることの1つは、学校で教える内容を変えることだとアセモグル教授は指摘する。
ただ、AIやビッグデータ、ロボット工学の時代にかつての中等教育運動に匹敵するものは何かを、われわれは検討し始めたばかりだ。

 「将来的に必要になる技能についてじっくり考えた人はさほど多くない」と同教授は言う。