AI研究家は『Detroit: Become Human』をどう見たのか―スクエニ・三宅陽一郎氏インタビュー
https://s.response.jp/article/2018/08/30/313508.html
――『Detroit』では2038年の世界が描かれていますが、実際にあと20年でこのような世界になることは有り得るのでしょうか。

三宅氏:AIには2種類のカテゴリがあり、「問題解決に特化したAI」と、『Detroit』のような何でも認識・解決できる「汎用AI」というものがあります。
しかし、「汎用AI」というのは現時点では存在しておらず、完成する目処もついていません。

なぜかというと、AI研究における難問として「フレーム問題」というものがあるからです。AIというのは、人に与えられた命令の外にでることはできず、想定外のことに対応することができません。
しかし、世界にはあらゆる想定外が存在し、AIはそれらに対応することができないんです。AIといえど処理能力は有限です。
想定外の事象を把握することはできず、たいたいの場合、無視するか停止してしまいます。それによって課題の実現が不可能になります。
これが「フレーム問題」です。これは特化型のAIを集めて、「汎用AI」のような見かけにしたとしても変わりません。

「汎用AI」を作るには、社会全体がAI用にデザインされる必要があるかもしれませんね。
AIは現実を認識することが苦手な反面、デジタル世界の処理は人間よりも遥かに優れています。
例えば信号を渡っていいかどうかをAIには電波で飛ばしてあげるとか、そのように社会が変わっていけば、「汎用AI」もあるいは…。

――そうなると、20年では難しいかもしれませんね。

三宅氏:ただ、少子高齢化の日本は、これから労働力がどんどん減っていくので、AIとロボットで社会を支えていかなければなりません。
変わっていく可能性があるとしたら、まずは日本からなのではないかと思います。