ドイツの職業訓練制度が問う「一生通用する技能」の意味
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ドイツの伝統的な職業訓練制度であるアウスビルドゥングは、他の国々が見習うべき例として広く知られている。
しかし、習得した従来型の細分化された技術で一生を過ごせた時代が終わったいま、劇的に変化するテクノロジーに対してどのような訓練や再訓練をすべきか悪戦苦闘している。

人工知脳(AI)やロボット工学に経済が依存するにつれ、ドイツの職業訓練制度は適応するのに苦労するだろうと、一部の専門家は警告している。
AIが長い間待たれていた生産性の伸びを促進する中、職業訓練制度によってすぐに時代遅れになるスキルを習得した労働力が多くを縛ってしまうとの見方もある。

「ドイツが今後10年間のさまざまな雇用に対して労働者を準備ができることは明らかですが、経済が変化したときに適応可能な労働者を準備しているかは明らかではありません」と、スタンフォード大学の経済学者であるエリック・ハヌシェク上級研究員はいう。

「変化がゆっくりな時代には、生涯にわたって同じ仕事をしていけると期待できるので、1つの仕事について訓練するのは有効です」とクルーガー教授はいう。
「しかし、技術的に急速な変化をしている経済では、1つの仕事に固執するのではなく、問題を解決できるように労働者を訓練する方が良い選択肢かもしれません」

「おそらくドイツの職業訓練制度は、今後起こる変化に対応するにはあまり適切ではないと考えられます」と、ミュンヘン大学の経済学者、ルドガー・ブェズマン教授はいう。

「あらゆる種類の訓練でいえる真実ですが、AIやロボットの時代には、1つの仕事を一生涯続けられるような特化したスキルだけではやっていけません。これは、あらゆる職業訓練制度の根本的かつ中核的な問題です」

「これまでだいたい正しいとされてきた職業に対する見方は、16歳で何かを学び、その後、その仕事が基本的に40年間変わらず、60歳での退職を願うことでした」とクルーガーはいう。

しかし、退職年齢が70歳を超え、AIがきわめて大きな影響を与える産業が増えるにつれ、まったく当てはまらなくなる。
「こうした社会において、職業訓練制度は、かなり劇的に変化し、適応する必要があります」とクルーガーは話す。