AIが打ち破る言葉の壁  分野の枠超え 同時通訳も視野
https://r.nikkei.com/article/DGKKZO32108150S8A620C1MY1000

コンピューターによる言語の翻訳性能が急速に高まっている。人工知能(AI)で現在隆盛の技術、ディープラーニング(深層学習)を取り入れたのがきっかけだ。
専門用語への対応や同時通訳など、より高度な機能の実現も視野に入ってきた。一人ひとりが翻訳機を持ち、言葉の壁がなくなる日が近づいている。
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NTTコミュニケーションズが3月に始めた有料の翻訳サービス「AI翻訳プラットフォームソリューション」は、人間で7時間かかる文章をわずか2分で訳した。速度とともに高い精度も大きな特徴だ。
英語能力テストで高得点をあげた人が訳した文章と同サービスの翻訳文のでき具合を、どちらが訳したのかを伏せて専門家に比べてもらったところ、同等という結果になった。

NTTコムや米グーグルなどの翻訳サービスはAIを採用し「ニューラル機械翻訳」と呼ばれる。
ここに採用された深層学習の手法は、英語などの外国語と日本語の文章の訳し方の適切さを分析するのに有効で、翻訳精度の向上につながっている。

これまでにも「統計的機械翻訳」という技術はあった。この翻訳技術は、目的の単語をその周辺の単語を含めてどのように訳すかを決めている。
機械翻訳に詳しい東京大学の加藤恒昭教授は「部分部分は間違ってはいないが、全体としてたどたどしい訳になりがちだった」と解説する。

これに対し、ニューラル機械翻訳は文全体を対象にして訳を決める。NTTの永田昌明上席特別研究員は「より流ちょうな訳が可能になった」と説明する。