「30年以内にお金の世界を終わらせたいんです」- 慶應大・斉藤賢爾博士が語るシンギュラリティ後の社会とは
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私たちは日本円やドルなどのお金を使って生活している。最近では、ビットコインのような仮想通貨も現れた。お金を使わずに生活するなんて想像できない、というのが一般的な印象だろう。
しかし、コンピュータサイエンティストとして地域通貨を研究してきた慶應義塾大学・斉藤賢爾博士によると、シンギュラリティ後には「お金のない世界」に移行していくべきなのだという。
本記事では、地域通貨の役割、そして斉藤先生が考える「お金のない世界」についてお話を伺った。

——強い社会であったはずの狩猟採集社会は、なぜ終焉に向かっていったのでしょうか。

文明が発達した結果、大規模な農耕がはじまったからです。
農耕社会では言葉が文字に落としこまれるようになり、一人ひとりの専門性が高まって、貨幣を介した「貸し借り」や「交換」が行われるようになります。
このような状況は突然やってくるわけですよ。これは「経済的なシンギュラリティ」と捉えることができます。

——Give and Take の考えかたに移行したとも言えそうです。現在も同じ仕組みが続いていると思うと、革新的な出来事だったように思います。

農耕社会が拡大し続けた結果が、現在の貨幣経済社会です。たしかに生産性は向上して私たちの生活は便利になったのですが、このままではマズイんですね。
貨幣経済社会では、日々お金を稼いで消費しないと生きていくことができません。
私たちはお金を得るために働いていますが、労働はこれからAIに奪われていくので、だんだんお金を得ることが難しくなってくるのです。