https://wirelesswire.jp/2017/06/60153/
さて、前回まで考察してきたAIやロボットなどの新しい技術による貧富格差の拡大は、ピケティの分析とどのように接続されるのだろうか。

ピケティの分析は経済の結果としての数値を考察することで得られたものなので、その中に技術革新の影響をすでに含んでいる。
蒸気機関による産業革命、動力船や航空機の登場による流通革命も、コンピューターとデジタル技術による通信革命も、それらすべてを織り込んだ結果としての経済指標を分析の対象としているわけだ。

だから「これからなにが起きるか」については、ピケティの分析と「AIやロボットなどによる貧富格差の拡大」はそのまま重ね合わせることができるだろう。
AIもロボットもピケティの分類に従えば資本であって、資本収益率を向上させる道具である。
すると資本収益率はより大きくなり、経済成長率との比はより一層拡大する。
つまり貧富格差の拡大が急速に進行するということになる。

1世紀後にピケティと同様の分析を行えば、「21世紀前半には、それまで以上の貧富格差の拡大が世界的に進行した」という結論がでるだろう。