自動運転の盲点 「レベル」の進化と安全性は別もの
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO20282630T20C17A8000000/?df=2
自動運転が作る未来(16):デンソーに聞く(上)

――見えにくいという意味では、雨の日も歩行者の認識は難しいが、これは夜道と同じ対策で十分か。
隈部 夜道と雨の日では、状況認識に役立つセンサーが異なる。
暗い道対策はカメラで対処するが、雨が降るとカメラでは見えにくくなる。
雨の日は、雨でも周辺物を検知できるミリ波センサーを使う。
カメラとミリ波センサーがそれぞれ入手したデータの認識処理をうまく組み合わる「センサーフュージョン」を活用し、認識精度を高めていく。
 実安全を高めるために実際の道路状況に近いテスト環境も作った。
2014年7月に完成した自然環境試験棟には、1時間雨量で4mmから50mmの雨を降らせることのできるコースがある。実環境に近い試験環境でテストすることで実安全を高められると考えている。
―― 現在、保険会社が自動ブレーキを装備したクルマを対象とする保険商品を企画していると聞く。
こうした商品の登場を考えると、例えば事故が起こったとき、ブレーキ痕が残っているけれど、その操作は人間が実施したのか、それとも自動ブレーキの制御なのかを後から追跡調査できる記録があると望ましいとの声がある。
隈部 正確な記録を残すことは技術的には問題ない。
今の自動車なら、なぜその動作をしたのかを細かく記録することは簡単だ。
ただ、どのように記録するのかについては個々の企業がそれぞれ考えるのではなく、何らかの基準や規定を満たす形で残したい。
 実際、エアバッグについてはEDR(Event Data Recorder:エアバッグが作動したときの車両動作の時系列な記録)というルールがある。
これと同じように何らかのルールが決まれば、それに沿って車両がどのような状態だったのかを記録する仕組みを作り込める。
今は記録に関する基準制定を待っているところだ。