>>381
――AIは、なぜそうなるかということを説明できないブラックボックスのため、業務に導入することが難しいと言われることもあります。

そんなこだわりはおかしいと私は思っています。言わばプログラマー的な感覚ではないでしょうか。
たとえば人と話している時に、相手がどんな回路を通って話しているのかを気にする人はいません。「その考えは右の小脳中枢を経由していないから、俺は気に入らない」なんて思いませんよね。
もちろん、どの回路をたどったかということを厳密に調べることはできますし、なぜ人工知能がそういう結論を出したかということを調べることだって、やろうと思えばできます。でも、膨大なお金と時間がかかりますから、誰もやらないというだけです。

私自身、コールセンターのコンサルティングをしていた経験があるので知っているのですが、コールセンターというものは、たとえ業務効率が悪くても売上には影響しないような構造になっています。
何十年もそれでやってきたのですが、労働人口も減少している今、そのままではダメだからメスを入れたいと思いました。
そこで、労働力が減少しても、AIを活用して仕事を効率化すれば生産性が上がると考え、問い合わせ業務を自動化できるRPA(Robotic Process Automation)の仕組みを提案したのです。
ところが、「柳の下にはまだドジョウがいっぱいいる」と考えるコールセンターもまだ多いのです。「だったら自分で会社を作ってやろう」と考えて立ち上げたのが今の会社です。

――ルールベースのQAシステムのようなものは、以前からありました。

従来のQAシステムでは、「こう聞かれたらこう答える」というQとAを人間がひとつひとつプログラミングしなければなりませんでした。
当社のQAエンジンはそれが完全に不要になり、リストだけ入れてやればアルゴリズムが自動処理してくれます。
自然言語処理によって、ぴったり一致するものがなくても、意味を類推して、人間の思考に近い最適な内容を生成します。