吉田和彦(52)=仮名=は関西の大学に進み、大学卒業後は就職せず、
「勉強を続けたいから」と父から毎年300万の仕送りを受け、
20代半ばから20年間、働くことなく遊んで暮らした。
父の死後、母の幸子(81)=仮名=だけでは仕送りを続けることができず、
8年前に和彦は南関東の実家へ戻ってきた。 
■70万円を4日で使い果たした息子
私の目の前に、和彦がいた。年齢より老けて見えるのは、歯がほとんどないからだろうか。
話すと空気が漏れるため、言葉が聞きとりにくい。不自然なほどの間があり、話しぶりは幼い。
知っていることや体験していることが非常に狭く、その分野だけを力説し、
ちょっとでも異を挟むと瞬間、キレて激昂する。一つのことにこだわる傾向があり、話がなかなか先に進まない。
支援員は懇々と話していく。
「キミはこの2年、ずっと家を出てアパートを借りて働くと言ってきたが、何も変わらないよね?」