福祉の恩恵が届きにくい「隠れた貧困層」が増えるなか、
生活保護の受給者に対しては、保護すべきかどうかを厳しくチェックする流れが強まっている。
「またホームレス生活に戻らなきゃならんのか」。
今年3月、三重県四日市市の60代男性は途方に暮れた。
生活保護が急に打ち切られたからだ。
糖尿病を患って働けなくなり、公園でホームレスを始めた。
所持金が53円になった2014年夏、生活保護を申請。
身を落ち着けてから職を探したが、
病気もあって15社以上応募しても不採用が続いた。
すると今年3月、市役所から「保護の廃停止について弁明の機会を設ける」
と通知された。3日後の面談で、担当者らに「就労意欲が消極的」と言われた。
男性はその月も、企業の面接に行っていた。
まじめに取り組んでいるのに、なぜ廃止なのか。
怒って席を立った。役所との面談の翌日付で保護が廃止された。