今まで私たちは、日本に生まれたという事実だけで、
食べるに困らない生活を保証されていました。
頑張れば報われるし、海外旅行にも行けるようになるだろうし、
未来は明るいものでした。
格差は「国と国の間」にありました。それは南北問題とも呼ばれていました。
けれど今、「国と国の格差」は急速に縮小しつつあり、
「個人と個人の格差」に置き換えられようとしています。
これは、今まで「“先進国生まれ”というだけで豊かな生活が
約束されていた人たち」には受け入れ難いことかもしれません。
そういった先進国に生まれたことの“既得権益”が、
もはや得られないとわかったために、今、先進国のあちこちで、
そのことへの抵抗運動(デモ)が始まっているというわけです。
経済のグローバル化は、世界における「先進国と発展途上国」という
境界線を無くし、代わりに別の境界線を引こうとしています。
これにより「先進国の市民という既得権益」もしくは
「先進国生まれという既得権益」を剥奪されそうになった人たちが、
世界中で抵抗を始めているのです。
デモをする人たちはいったい、誰と誰が平等になる世界を夢見ているのでしょう?