それに比べて環境設定は比較的に容易でしょう。
なぜなら、人間の社会は人間の作り出しているシステムに過ぎないからです。
そこにはルール(法律・習慣)が決まっています。
それらの条件はすでにわかっているため、
人間の本能・衝動などよりはるかに簡単に設定できるでしょう。

そして、様々な環境下において個々のバーチャル人間が行動(ミクロ)した結果を
すべて合成することで、
社会全体(マクロ)の経済活動がどのように変化してゆくかを観察できます。
最初は現実離れした結果が導き出されるでしょう。
しかし実験を繰り返せば、やがてシミュレーションの精度が向上します。
バーチャルな経済社会がスパコン上に現れます。

すると、「なぜそうなるか」がわからなくても、
経済が正確に予測できるようになります。
「なぜそうなるか」を理解するためのものではないのです。
これが従来の経済学とはまったく違う点です。
もちろん、ここで想像するほど簡単ではないでしょうが。

こうした超スパコンの開発にはいくらおカネをかけても良いと思います。
もし成功して経済シミュレーターが完成すれば、
その経済効果は何兆円にもなると思うからです。
最適な経済政策があらかじめシミュレーション上で確認できるからです。

日本のスパコン研究者が研究費を不正受給したとして逮捕されましたが、
その額は4億円、その他もろもろの助成金総額は100億円になると騒がれていますが、
わずか100億円に過ぎません。
スパコンの開発に毎年総額1000億円の投資はあたりまえ、
それくらいの考えが必要だと思います。

そして利権争いのために学者、政治家、官僚、マスコミが大騒ぎして
経済政策が紆余曲折する現状に終止符を打つべきだと思うのです。