「ガッキィファイター」2018年7月18日号
                          通巻 第606-1号
■目次■

□今週のコメント
 ◆こんな「働き方」改革へーー省庁主導は無理ゆえ先進的個人から(1)
□お知らせ
 ◆今月の古典![追伸改定]

■■今週のコメント■■

★こんな「働き方」改革へーー省庁主導は無理ゆえ先進的個人から(1)★━━━━━━━━★

 公務員は主婦と似て、かつて立派な職であったが、炊事洗濯掃除が丸一日作業であること
から超短時間までの自動化が躍進したうえ、育児までも外部委託あるいは放置、または上の
子が下の子の面倒を見るパラダイスも、日本では昭和から平成最後の夏にかけて一層のシ
ェアと階層格差が進行中である。
 かつて売春も伝統的な職業であったけれども、ここ1年で急増した「パパ活」はブームや
らシャレではおよそ済まぬ事態にまで立ち至っており、「遊び感覚で気楽にデートやグルメ
や旅行、年齢差や収入差を前提に添い寝やセックスもありな代償として毎回お小遣いをい
ただく」パパ(活)は、就活やら婚活とは無縁だ、とはまったくいえない。
 経済成長は数字のうえでは下がっていないことになっているのに個人レベルの格差は良
くも悪くも拡大し続けており(参照『論争 格差社会』文春新書、私も中編を寄せています)、
ホームレスのレベルとは異質な、「日常的小遣い稼ぎ」かつ「相対的な若さと住の近さが売
り」を軸にもつパパ活は、モーツァルトやダ・ヴィンチや坂本龍馬らに大金を出し続けた「ス
ポンサーまたはタニマチ」的なる貴族や富豪たちと、「その優れたスキル自体では食えない」
後世に名をなす人々との関係では、額の桁がかなり違い密接度も異なる以外に、何か差があ
るのだろうか、と敢えて疑問を突き詰めてみる。
 マルクスによる「資本家は生産手段を、労働者は労働力のみをもつ」との定義は正しかっ
た。「正しかった」と過去形で断言するのは現代では個人が生産手段をもてるからだ。
 労働力しか売り物がないという中近代以降の事態は、たとえば医療や売春もかなり重な
るけれども、現代先進国では「売春許可制」を取り続けているドイツなど(そのほうが衛生
面での徹底が可能)を含めて、プロスティテュートは組織の介在を法的に許していない。