本を精読するということと、読み終えた本を有効に利用するという2点においては、
紙の本よりも電子書籍の方がずっと優秀だと思う。

そのさいキーワードになるのは、全文検索という電子書籍の機能。

読んだ本について、どこに何が書かれていたのか、明確に覚えられる人は少ない。
しかし、きちんとした意見を述べようとすれば、誰がどの本でどんなことを述べてい
たのか、引用で立証しながら議論を進めていくことは必須の作業ともいえる。

また著者により、おなじ事実や人物について異なる評価をすることも少なくないため、
そうした違いを見極めておくことも正確な議論には必要となってくる。

電子書籍では、そうした緻密な作業を全文検索で効率良く行うことができる。

一方、紙の本の場合は、書庫にしまい込んだ本を引っ張り出すだけでも大変な労力
だし、ましてや、どの本に何が書かれていたのかなどは、かなり記憶力に自信のある
人間でも正確に覚えておくことは難しいはず。
また、蔵書の量が増え自身も年齢も重ねていくと、今度は記憶の誤りが増えてくると
いう落し穴が待っている。

そういう意味では、紙の本は、蔵書に場所をとるだけでなく、蔵書に記されたた内容を
確認するという点においても、電子書籍よりもずっと劣っていることが分かる。