東日本大震災の3倍、熊本地震の地震動を分析
 4月14日に発生した熊本地震では、熊本県益城町で震度7を記録した。筑波大学の境有紀教授は、過去に震度7を記録した地震と、
熊本地震の地震動の比較を試みた。その結果から、4月14日の地震は、東日本大震災の3倍、阪神・淡路大震災の半分程度の強さ
だったとの見解を示した。

 地震にはいろいろな波が含まれている。これを、建物に影響しやすい成分ごとに分析したのが「弾性加速度応答スペクトル」
(以下、加速度応答)だ。木造住宅を倒壊させる周期は、1〜2秒あたりと考えられている。つまり、1〜2秒の加速度応答の値が
高いほど、木造住宅が倒れやすい地震動となる。

境教授は、1〜2秒の成分がどのくらい大きかったかを過去の主な地震と比較した。

(1)1995年阪神・淡路大震災(JR鷹取)
(2)2004年新潟県中越地震(小千谷)
(3)2003年宮城県沖地震(大船渡)
(4)2011年東日本大震災(栗原)
(5)2016年熊本地震(益城)

 分析の結果、4月14日地震は、東日本大震災の約3倍、阪神・淡路大震災の半分程度の揺れを引き起こしたとの見解を示した。

 「同じ震度7でも、建物の被害はかなり違う。実際の被害もこのグラフのイメージ通りだった。阪神大震災で震度7を記録した地域は、
建物が軒並み倒壊していた。それに比べると、東日本大震災の栗原地区は、建物の被害は少なかった。この二つの地震の中間くらいの
被害だったのが新潟県中越地震で震度6強を記録した小千谷地区だ。熊本地震は、新潟県中越地震と同じくらいの被害と予測している。
それを確認するために、現地調査を予定している」(境教授)

 熊本で地震が発生することを予想していたかについても聞いた。「マグニチュード6や7クラスの直下型地震は、日本全国どこで起こ
ってもおかしくない。活断層も把握できているものはごく一部。把握できていない活断層でも地震は起こっている。今回のような
直下型地震は、日本全国、どこで起こってもおかしくないと認識すべきだ」と境教授は語る。
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/atcl/bldnews/15/041500569/041500007/