Spiceシミュレーションの不具合点2:バイポーラTrの準飽和を記述できない

特に高耐圧品種で顕著な準飽和現象を表現するパラメータがSpiceにはない。
(Vafの値はIc, Vceによって変化するがSpiceではVafは定数で全く変化しない)

低電圧・大電流領域ではコレクタ高抵抗層の電圧降下でB-C接合が順方向にバイアスされてベース幅が広がり、hFEが低下すると同時に大量のキャリアがベース〜コレクタ内に蓄積してftが下がる現象(Kirk効果)をシミュレーションできない。

この準飽和状態での静特性を無理に表現しようとして、Vafの値が異常に小さく記述されている品種(2SCR375P等)もある。
準飽和を脱したVceでのVafが本来の値なので、このような品種では使う条件(Ic, Vce)でのVafの値を調べて書き換えないと使えない。