まず総論として、諸外国(欧米、中国、アジアなど)の水準に比べてみると、日本の手数料率は諸外国に比べて高い水準にあります。
しかし、ここで理解しておくべき点は、日本と諸外国ではクレジットカード会社などの収益構造が大きく異なるため
単純に数値を比較して日本が高過ぎると結論付けるのは早計だということです。

実は、手数料の安い諸外国に比べ、日本のクレジットカード会社などが大きな収益を得ているかといえば、そうではないのです。

まず日本のクレジットカード会社などは、決済ネットワークや決済端末などのシステムにかかるコストが高いと言われています。
基幹システムの改修に毎年数百億円の投資を行う大手クレジットカード会社も少なくなく、この負担が結果的にオープンAPIなどの対応を遅らせる結果にもなっています。
さらに、日本の多くのクレジットカードが一括払いで利用されていることから、
諸外国ではカード事業の大きな収益源となるリボ払いの手数料収入が、日本のクレジットカード会社には少ないという課題があります。
そのため、システムの維持や改修にかかる大きなコストを回収できる十分な収益が得られず、多くのカード会社が保証業務などの本業以外の事業で稼いでいます。


このような状況を総合すると、日本の加盟店手数料を人為的・政治的に下げるとカード会社が経営危機になる可能性もあると言わざるを得ないのです。