雪がしんしんと降り積もる中
僕を乗せたバスが里山へと近づく

バス停から我が家までは100m程しかないが
残業で疲れ果てた体で
膝まで積もった雪道を行くのは気が重い

見慣れたバス停を降りると
足元の雪が綺麗に片付けられているのに気付いた

歩きやすく雪かきされたその地面は
我が家の方向へと伸びている

不思議に思いながら、雪かきされた道を歩いてゆく

緩やかな曲がり道を進んでゆくと
小柄な女の子がスコップを持って
懸命に雪かきしているのが見えた

女の子は僕の姿に気付くと
あたふたと慌てた様子でこちらに駆け寄ってきた

「おかえりなさい!間に合わなかった〜」

僕が帰って来るまでに
家までの道を全部雪かきしたかったのだと
女の子は残念そうに笑った

寒さで鼻が赤くなった女の子をみて
僕は心の一番深いところに灯りがともるのを感じた


すべての幸せが、君と共にありますように。