0051名無しの権兵衛さん
2013/09/22(日) 07:44:43.42ID:huK/wHHa僕を乗せたバスが里山へと近づく
バス停から我が家までは100m程しかないが
残業で疲れ果てた体で
膝まで積もった雪道を行くのは気が重い
見慣れたバス停を降りると
足元の雪が綺麗に片付けられているのに気付いた
歩きやすく雪かきされたその地面は
我が家の方向へと伸びている
不思議に思いながら、雪かきされた道を歩いてゆく
緩やかな曲がり道を進んでゆくと
小柄な女の子がスコップを持って
懸命に雪かきしているのが見えた
女の子は僕の姿に気付くと
あたふたと慌てた様子でこちらに駆け寄ってきた
「おかえりなさい!間に合わなかった〜」
僕が帰って来るまでに
家までの道を全部雪かきしたかったのだと
女の子は残念そうに笑った
寒さで鼻が赤くなった女の子をみて
僕は心の一番深いところに灯りがともるのを感じた
すべての幸せが、君と共にありますように。