http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20160217000022
 京都府が首都圏向けの移住相談を担う専門スタッフ2人を先月上旬から都内に常駐させ、移住希望者の取り込みを本格化させている。
ただ、すでに他の自治体が先行し、さまざまな積極策に打って出ている。府中北部の人口減少対策として移住者を増やしたい府だが、
そう簡単ではない。

 首都圏に住む京都出身者向けセミナーが都内で先月上旬開かれた。外資系金融機関を辞めUターン、現在は京都市で有機野菜販売会社を
経営する男性らが、移住を決めた際の心境などを語った。伏見区出身の井上恵一さん(26)は「いずれ京都へ帰ろうと思い、きっかけがほしくて
セミナーに参加した」と話した。

 このセミナーを含め、府は今年に入りほぼ毎週末にわたって希望者向け事業を展開。専門スタッフ「京都移住コンシェルジュ」2人が中心となり、
空き家情報や就農支援策を紹介する移住相談も始めた。

 しかし、他の自治体はすでに移住者取り込みに向けしのぎを削る。NPO法人ふるさと回帰支援センター(東京都千代田区)には、昨年だけで
24県が新たに相談窓口を設置するほどの過熱ぶりだ。府は昨春、コンビニの一角にアンテナショップを出店、パンフレットなどを置くが、
岩手県などはアンテナショップにまで相談員を常駐させるなど、力の入れ方が違う。

 同センターが発表した移住希望地域ランキングで京都は今年も上位20位圏外だった。同センターは「上位の自治体は本気で移住者の
受け皿を整備している」と分析。京都のブランド力だけでは太刀打ちできない現状を裏付けた。

 府の人口流出は続き、転入と転出の差をまとめた総務省の15年の人口移動報告では279人減。転入の多い京都市をのぞき、中北部は
すべての市町で転出が上回り、南部も宇治市は全国14番目の1083人転出超過だった。

 府農村振興課は「京都出身者らゆかりのある人のネットワークを広げることから力を入れ、他府県との違いを出したい」と話すが、移住対策の
本気度が試されている。