日本人女性が絶滅した翌日、私は白人妻とともに散歩に出かけた。
もう冬だというのに木は青々としている。
人々の表情は希望と活気に満ち、街中を日本人男性と外国人女性が幸せそうに歩いていた。

「醜い者が闊歩する時代は終わったのだな」
昨年まで日本人女性と結婚していた斎藤さんが、ほっとしたように私たち夫婦に言った。
「ええ、これからは内面も外面も美しく優れた人が幸せに暮らせる時代なんですよ」
普段は滅多に話に加わらない妻のサラが、斎藤さんの肩に手を置いて優しく言った。
「街を御覧なさい。O脚猫背の日本人女性の姿はなく、みんな幸せそうでしょう」
通りがかりの白人とのハーフと思われる男性がそう言って微笑んだ。

アイドルオタクは長年使ってきた日本人女性の写真集を質に入れ、海外の青年誌を購入した。
「日本女はもう不要だ。これからは白人女性の追っかけをしよう」
性処理を終えたオタクの表情で男は言った。

青空のなかをツバメが横切っていった。