【専門家に聞く 〜こんなときどうする〜経営 】
 食品スーパーを経営していますが、売り上げ、利益ともに減少しているので
 深夜営業や24時間営業の導入を検討しています。どのような点に注意すればよいでしょうか?

■24時間営業のポイント−店舗運営法の再構築を−

 営業時間を延長すれば、売り上げが増加するかもしれませんが、
 人件費や光熱費等の経費がかさみ、利益率ばかりか総利益額の減少を招くことにもなります。
 現在のパートやアルバイト従業員全員に深夜シフトを義務付けることは不可能と思われますので、
 正社員を中心に担当させるか、深夜シフト用のパートやアルバイト従業員を新たに雇う必要があります。

 深夜営業は、コンビニエンスストアとの差異化が重要で、店内調理の総菜や弁当類、
 鮮度の良い生鮮品を豊富にそろえることが必要です。また、一定以上の店舗規模の場合、
 防犯対策も重要な問題になります。具体的には店内の盗難対策や駐車場等での犯罪発生予防です。

 米国では、ほとんどのスーパーマーケットが24時間営業ですが、
 これは売り上げ増加が目的というよりも、深夜に店内清掃や商品補充を行うためです。

 店内に従業員がいるので、少数の来店客であれば対応できるため、終日営業しているというのが実情です。
 店の入り口や出口を分けており、深夜はレジ専従者を必ずしも置く必要がない店舗構造になっています。
 来店客も出口近くに車を止めて買い物をするなど自ら防犯にも気をつかっています。

 つまり、深夜営業の導入は単に営業時間の延長ととらえるのではなく、
 少人数で店舗を運営するノウハウ作りと受け止めることが重要なのです。

中央学院大学
講師 松原寿一
日経流通新聞 2002年3月2日