白竜はまた、グラスを口に運んだ。
「酒や煙草を見てみろ。世界中で毎年何百万人も死んでる。でも、どの国だってそんくれえの死人だったら禁止にはしねえ。
税金がどかどか入るからな。ヤクザが売れば中毒物質だが、お上のお墨付きがあれば嗜好品って訳だ。
ギャンブルもそうだろ? ヤクザがやれば賭博開帳、お上がやればレジャー施設だ」

(河合莞爾著・祥伝社『スノウ・エンジェル』より)