日本たばこ産業(JT)は13日、本田勝彦社長が相談役に退き、
後任社長に生え抜きの木村宏取締役を昇格させる人事を正式発表し、
本田社長は木村氏について「かねて意中に秘めていた人材」と強調した。
木村氏は海外事業を成長させた実績が高く評価されたもので、健康志向
の高まりから喫煙所の撤去が進むなど厳しい環境の中、その手腕が注目
される。
 木村氏は海外事業の拠点となる子会社JTインターナショナル
(スイス・ジュネーブ)をはじめ、ドイツやイギリスなど海外駐在が長く、
99年には米RJRナビスコ社が持つ海外たばこ事業の買収を手がけた。
JTはこれを機に海外事業を急速に拡大しており、05年の販売数量では、
初めて海外販売本数が国内販売本数を逆転する見通しで、国内事業の強化
が大きな課題となっている。
 たばこの販売を巡っては、98年からテレビコマーシャルが禁止となり、
昨年7月からは世界保健機関(WHO)の規制枠組み条約を受け、パッケー
ジの3割以上に健康に関する警告文を添付することが義務づけられた。さらに、
7月からは3年ぶりにたばこ増税が実施される予定で、木村氏は「大変つらい。
影響をどう最小限にとどめるか検討したい」と述べた。
 ただ、同氏は「原点に立ち返り商品の品質を高めたい」と苦境克服に意欲を見
せるとともに、食品や医薬などたばこ以外の事業の強化を急ぐ考えを表明。企業
買収についても「慎重かつ果敢に判断する」と述べた。
 また、政府がJTの発行済み株式の2分の1を保有していることに対しては、
政府の株式売却で経営の自由度を高めたいとの考えも示した。

「原点に立ち返り商品の品質を高めたい」(笑)