>>88 の続き、
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/cancernavi/202112/572938.html
ここまできた膵がんの早期診断・早期治療

幻のがんと呼ばれるステージ0の膵がんは診断可能か?

 膵管の粘膜から発生したがんは、膵管から出て進行することによって
一般的な膵がんを形成するが、膵管内にとどまっているステージ0の状態
である「上皮内がん」は、幻のがんとも呼ばれる。このステージ0の状態
で診断することは可能なのだろうか? 菊山氏は「ステージ0の早期膵
がんの診断・治療は可能」と話す。

 菊山氏によれば、ステージ0の膵がん発見のきっかけになるのは、何ら
かのチャンスで撮られたMRI、CT画像である。膵管の近くに、まるでそ
こだけかじったような組織の欠損があったり、膵管を対称軸とする上下
あるいは左右の非対称性が認められる場合、膵がんが疑われる。菊山氏
らの研究では、このような所見(医学的には限局性膵萎縮[FPPA]と
呼ばれる)が認められた患者で、連続膵液細胞診(SPACE)によりがん
細胞が検出され、FPPAの近傍に膵管内にとどまるがんが発見されたという。

 SPACEは、内視鏡を使ってチューブの一端を膵管に入れ、もう一端を
鼻から出して膵液の一部を体外に引き出し、がん細胞がないかどうかを
繰り返し調べる検査である。精度90%以上という非常に精密な検査で、
この検査によって、ステージ0のがんである上皮内がんの診断率が大きく
向上したという。

 したがって、画像検査でFPPAを認めた場合には、「連続膵液細胞診が
できるような施設で、詳しく調べてもらうことが推奨される」(菊山氏)。