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はしかの恐るべき「免疫の記憶喪失」とは、世界で流行が拡大、別の感染症流行の要因にも
https://news.yahoo.co.jp/articles/89dcb5a47f28d18e6023d18ac37a8378b61611ac?page=2
麻疹ワクチンの導入以降、数十年の間に、小児の死亡リスクは30~86%下がったが(国によって異なる)、そこには麻疹そのものによる死者の減少よりもはるかに大きな効果が存在する。
研究からは、麻疹ワクチンが子どもたちの命を救ったのは、麻疹にかからなくなったことに加えて、下痢や呼吸器疾患といった一般的な幼児期の感染症でも死ななくなったためであることがわかっている。なぜ、このような効果があるのだろうか。
「麻疹から回復した人の免疫が抑制された状態になることは、何十年も前から知られていました」と、カナダ、ウェスタン大学の免疫学教授マンスール・ヘアリファー氏は説明する。つまり、麻疹にかかった人は、麻疹とは無関係の感染症で死亡する可能性が大きく高まるという。
空気を介して広がることから呼吸器系ウイルスとみなされている麻疹ウイルスだが、研究からは、免疫系の「記憶細胞」に感染して死滅させることがわかっていると、2018年に学術誌「Nature Communications」に掲載された論文の著者の一人であるデ・スワルト氏は説明する。
免疫記憶を担う記憶細胞は、過去に出合った病原体を認識し、破壊する役割を持っている。麻疹ウイルスに壊された記憶細胞は、主に麻疹ウイルスを認識する記憶細胞に置き換えられる。これにより、体はその後の麻疹の感染を防げるようになる一方、風邪やインフルエンザウイルスなど、その他の一般的な病原体を認識する能力は損なわれる。
ただし、この免疫の「記憶喪失」状態はいつまでも続くものではないと、デ・スワルト氏は指摘する。「何もかもが失われるわけではありません。時間をかければ、そして、不運なタイミングでよくない病原体にさらされなければ、免疫系は正常な状態に戻っていきます」
こうした免疫記憶喪失は、麻疹感染から数カ月の間が最も顕著だが、場合によっては数年にわたって継続することもある。