40歳以上の人の腎機能は、血清シスタチンCで評価しよう。
2023年07月04日 (火)

腎機能検査ですが、血清クレアチニン値ではなく、血清シスタチンCを調べるのがベストです。
「ドクターサロン」という医学雑誌の2023年7月号に
「腎機能の評価方法」という記事が掲載されていました。
聞き手が池田克則先生で、回答者が、田尻ケ丘病院腎臓内科の鶴岡秀一先生です。

6ページで、鶴岡先生が、『クレアチニンは筋肉量を反映するので筋肉の少ない方や逆に筋肉が多すぎる方でももちろん問題になります。例えばすごく運動をしている方やプロテインを摂取している方などの場合も問題になってくる欠点があります。』
とクレアチニンの欠点を指摘しておられます。
しかし、残念ながらシスタチンCには言及しておられません。

高齢者の腎機能はクレアチニンで評価してはいけません。
高齢者の腎機能はシスタチンCで評価しなくてはなりません。

ブログ読者の医師・看護師の方々は、是非同僚や知り合いの医師・看護師の方々にこの情報を拡散するようよろしくお願い申し上げます。

例えば、75歳男性Aさんの血清クレアチニン値は0.76mg/dlで基準値内で、eGFRは75.9mL/min/1.73m2と正常でした。
しかし、同時に血清シスタチンCを調べたら、1.76mg/dlで基準値を超えていてeGFRは30.61mL/min/1.73m2としっかり腎機能障害でした。

血清クレアチニンの基準値は、男性1.2mg/dl以下、女性1.0mg/dl以下です。
血清シスタチンCの基準値は、男性0.63~0.95mg/L、女性0.56~0.87mg/Lです。

同様に、77歳女性Aさんのクレアチニン値は0.58mg/dlで基準値内でeGFRは73.89mL/min/1.73m2で正常でした。
しかし、同時に血清シスタチンCを調べたら、1.48mg/dlで基準値を超えていてeGFRは39.59mL/min/1.73m2で腎機能障害が認められました。

つまり、AさんもBさんも、本当は腎機能障害があるけれど、
血清クレアチニン検査は正常であり、見逃してしまうということになります。