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 渋谷さんの遺族と代理人弁護士は27日、金沢市内で会見を開いた。原告の一人、渋谷さんの長女・毛利貴和(きわ)さん(62)によると、渋谷さんにはすでに多額の借り入れがあったにもかかわらず、大学に3億円を寄付。遺族が約2億円の借金を返済しなければならないという。毛利さんは、大学側が家族に相談なく多額の寄付を募ったのは、「極めて異常だ」と語気を強めた。

 遺族の代理人弁護士は、渋谷さんの病状に乗じて病院が寄付を募ったとして、「準詐欺罪にも該当しうる」と述べ、民事訴訟の推移しだいでは刑事告発も検討するとした。

 遺族と大学は昨年3月から民事調停で協議を重ねてきた。遺族側によると、大学側は、渋谷さんから寄付の申し出があり、個人の意思に基づくと主張。寄付された21年5月の時点で渋谷さんが認知症だったとの証明がないとして、返還には応じなかったという。協議は、昨年8月に決裂した。

 金沢医科大学は、取材に対して「訴状が届いておらず、コメントは差し控える。訴状の内容を確認してから対応したい」と回答した。