>>242
・パターンA
一定以上顎を開く、もしくは顎を前に出すとカクッと音がする場合
→パターンAは、顎が開いた時や顎を前に出した時に顎関節が正常な位置に戻っている
従って、前方整位スプリント(顎を前に出した状態を維持するスプリント)を使って、顎関節が正常な位置を維持するように調節する
2-3ヶ月程度スプリントで整位した状態を維持できたら、その顎位が生理的に正しい位置
そのようにして得られた生理的に正しい位置が維持できるように補綴治療を行い、恒久的に顎関節が整位した状態を保てるようにする

・パターンB
顎が急に一定以上開かなくなった場合(クローズドロック)
→パターンBでは顎関節が前方にズレたまま引っかかって戻らなくなっている
この場合は1-2週間以内であれば顎関節マニピュレーションと呼ばれる特殊な押し方をする事で、顎関節のロックを外してパターンAの状態に持っていくことができる
後の治療法はパターンAと同じ

・パターンC
パターンBを放置したり適切な治療ができなかった結果、顎は開くようになったが違和感や痛み、ジャリジャリといった音がする場合
→顎関節が前方にズレて引っかかったまま固まってしまったが、顎関節を破壊する事で無理矢理口が開くようになっているだけ
この場合、顎関節は前方にズレた上で擦り潰されて完全に破壊されてしまっている
この場合は顎関節を正常な位置に戻す事は諦めるしかない
治療法としてはスタビライゼーションスプリント(硬くて咬合面がフラットなスプリント)を使う
これで顎への負担を減らし、顎位をできるだけ負担の少ない位置に誘導する
その上で開口訓練を行い、何度も顎を開け閉めすることで潰れて壊れた顎関節を更に前方に押しやってどかす
すると、未分化細胞が開口訓練の刺激によって増殖して顎関節の代わりになる組織を作り出す
この代償組織が顎関節の代わりをするようになる
代償組織が生成されるまで最短で半年、長くて数年かかるが、この間はスプリント装着と開口訓練を並行して行う
代償組織が作られて顎位が安定したら、必要に応じて補綴や矯正を行って治療終了