>>535

ネット上のプライバシーの侵害と関連して、個人情報の漏えいがどこまで許されるのかという問題があります。

たとえば、実名、氏名や住所、電話番号、職業なら掲載しても良いのか?ということです。

この点、プライバシーの侵害はかなり広く認められています。

電話帳や登記簿には氏名や住所が掲載されているとしても、ネット上で不特定多数の人に開示されることは予定していないので、氏名や住所を勝手にネット上に転載した場合にプライバシーの侵害が認められた例もあります(東京地方裁判所平成23年8月29日判決)。

よって、単に氏名、住所、連絡先、電話番号を掲載しただけでも、プライバシーの侵害が成立して、各種の責任が発生する可能性があります。

画像を公開されると、上記で紹介した権利である「プライバシー権」侵害となりますし、それだけではなく「肖像権」侵害にもなります。

肖像権とは、無断で自分の写真や画像を撮影されたり、無断で公表・利用されたりしないための権利で、憲法上の権利である人格権の一部として保障されると考えられています。

これについても、自分が被害者になる可能性もありますが、加害者になることもあるので、注意が必要です。

たとえば、友人と一緒に写真を撮影すると、友人は「写真を撮影されること」については了承しているので、ブログにアップしても許されると思ってしまうことがあります。

しかし、「公表」については「撮影」とは別に承諾が必要なので、許可無くネット上に画像や動画を投稿すると、やはりプライバシー権侵害、肖像権侵害になる可能性があります。

投稿内容が対象者のプライバシーの侵害となる場合は、投稿者に法的な責任が発生します。たとえ刑事上の責任は発生しなくても、民事的な責任が発生します。

具体的には、不法行為が成立して、損害賠償責任を負う事になります(民法709条)。