Gateway Reflex, a New Concept of Neuroimmunology ~ 神経免疫学の新しい潮流“ゲートウェイ反射”~ 演者 村上 正晃 先生
https://ls.beckmancoulter.co.jp/files/events/2017/2017121_JSI.pdf
ゲートウェイ反射は、特異的な神経回路活性化が、中枢神経系(CNS)の特異的な血管に免疫細胞の侵入口(血管ゲート)を形成し、 中枢炎症を誘導する現象です。
(中略)
一方、教科書には、免疫細胞は血液脳関門(BBB)を持つ CNS 血管は侵入できないとあり、 血中の病原T細胞がどこからどのように CNS に侵入するかを調べました。
すると重力刺激が固有の感覚̶交感神経回路を活性化し、 第5腰髄(L5)の背側血管に病原T細胞の CNS への侵入口(血管ゲート)を形成しました 1。L5の背側血管にてノルアドレナリン依存性に過剰に産生されたケモカインが血管ゲートを形成します 1,2。
重力ゲートウェイ反射に続いて、筋肉への微弱な電気刺激、疼痛を起点とする固有の神経回路の活性化が、それぞれ別の部位の BBB に血管ゲートを形成することがわかりました 1,3。
最近発見したストレスゲートウェイ反射は、現在、予防法、治療法もない進行型多発性硬化症のモデルを作ったとともに 4、睡眠不足などの慢性的ストレスにて形成される当該ゲートウェイ反射が、
単に、脳の特定血管にゲートを形成するばかりではなく、新たなコンセプトとして、「脳の特定血管の微小炎症が、新たな神経回路を活性化して臓器機能を制御する」ことを発見しました 6。
ストレスゲートウェイ反射は、EAEマウスに消化管炎症、心不全から突然死を誘導します 6。これまで、経験則として考えられていた“病は気から”の一例である「ストレスによる消化管の病態、突然死」の一部の分子機構を解明できたものと考えられます。