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■お母さんのやせと新生児のリスク
 やせている女性が妊娠し、そのまま適正な体重増加がないまま出産すると、その影響は生まれてくる赤ちゃんにもおよぶ可能性がある。
 妊婦がやせているほど赤ちゃんの在胎日数が短くなり、出生体重が小さくなる傾向があることを昭和女子大学管理栄養学科志賀研究室と森永乳業栄養科学研究所の共同研究(論文執筆中)が明らかにしている。
 「このデータは、2007年1月から2011年12月の5年間に静岡県の一般産婦人科施設で妊婦健診を受け、正期の妊娠週数で1児を出産した健康な妊婦2359人のもの。
初診時にBMIが18.5未満だったやせ妊婦では、妊娠から分娩までの在胎日数が短く、子供の体重も有意に低かった」と森永乳業栄養科学研究所の武田安弘所長。
 厚生労働省は、「妊娠期の至適体重増加チャート」で、やせの女性が妊娠したときのリスクとして、低出生体重児の分娩 、子宮内胎児発育遅延、切迫早産や早産、貧血などを挙げている。
 「低出生体重児」とは、2500g未満で生まれた新生児のことだが、日本では1975年の5.1%から上昇を続け、2011年には全出生児中の9.6%に達している。この比率はOECD(経済協力開発機構)加盟国先進国の中でも顕著に高い。
 「母親の栄養状態が悪くやせている場合、赤ちゃんの出生体重が小さくなる可能性があり、さらに受精時から胎児期の栄養状態が赤ちゃんの将来の疾患発症に影響を与えるおそれが指摘されている」というのは早稲田大学理工学術院の福岡秀興教授。
 日本で行われたものを含む78の研究を分析した報告でも、やせの妊婦が低出生体重児を産むリスクは普通体重の妊婦の1.64倍になっている[注2]。
 そして、これまでの研究から、低出生体重の赤ちゃんに将来発症するリスクがある疾患として、虚血性心疾患、2型糖尿病、高血圧、メタボリック症候群、脳梗塞、脂質異常症、神経発達異常などが挙げられており、この相関を実証する研究が進められている。