http://www.asahi.com/articles/ASL9W5W0ZL9WUTIL035.html
入れ歯安定剤で酒気帯び、免許取り消しは無効 東京高裁
2018年9月27日20時30分

酒気帯び運転で運転免許を取り消された静岡県内の40代男性が、
「入れ歯の安定剤に含まれるアルコール成分が呼気検査に影響した可能性がある」として、
処分取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が27日、東京高裁であった。
白石史子裁判長は男性の主張を認め、処分を取り消した。

判決によると、男性は2015年3月と5月、静岡県警に酒気帯び運転で摘発された。
呼気検査では、1リットル中のアルコール濃度がそれぞれ0・15ミリグラム以上と0・3ミリグラムで、
違反点数の累積で免許を取り消された。

一審・静岡地裁判決は、男性が前夜に飲酒をしていたことや、
警察による実験では検知したアルコールが極めて少なかったことから、
「安定剤の影響はない」と男性の請求を棄却していた。

一方、高裁は男性が入れ歯をつけてから20〜30分後に車を運転した点に着目。
静岡地検が今年3月に行った実験で、男性が入れ歯を装着してから
約27分後の呼気検査で0・15ミリグラムを検知したことも踏まえ、
男性の体内に「(違反になる程度の)アルコールがなかった可能性がある」と判断した。

男性は道路交通法違反の罪で起訴され、一審で有罪となったが、
二審の東京高裁が6月、同じ理由で逆転無罪の判決を言い渡していた。