別冊 日本臨床 精神医学症候群(第2版)2017/06/20
「非24時間睡眠・覚醒リズム障害」早川達郎
以下抜粋
- 視覚障害のない本症候群は稀な疾患であるとされている。ほとんどの報告が1例が数例の報告であり、発生率については未だわかっていない。
- 我々は57例の視覚障害のないN24SWRD(non-24-hour sleep-wake rhythm disorder) 連続例を検討し、以下のような臨床的特徴を報告した。
- 性差については男性優位
- 発症年齢は10歳代の発症が大多数
- 発症前の状態については、精神疾患を有していた症例が28%に認められ、睡眠・覚醒相後退障害が先行していた例が26%
- 休学、退学、休職、あるいは退職のような社会的機能の破綻が98%
- 頭部外傷あるい髄膜炎、小児期の発達異常、10歳以前の明らかな睡眠の問題の既往を有している症例は認めず
- 睡眠障害、精神疾患、あるいは神経疾患の家族歴を有する症例が5例
- N24SWRD発症前に精神疾患を認めなかった41例中14例に、発症後に精神疾患の発症を認め、全て大うつ病であった(睡眠が昼夜逆転時にうつ状態が悪化)
- 無理に覚醒する努力を止めて、自由に睡眠をとることで、眠気や疲労症状が消失し、自由継続リズムが明らかになれば、N24SWRDと診断することができる
- 夕方から就寝前にかけてのメラトニンあるいはメラトニンアゴニスト投与は臨床経験上、奏効することも多く、第一選択と考える。
- メラトニンは0.1mg-数mgの低用量で効果が認められることが多い
- メラトニンアゴニストであるラメルテオン投与に関しては、メラトニンと同様の使用方法で良いと考える。
- ラメルテオン投与は、我々の施設では、2mgを初回投与量として使用することが多く、経過を見ながら増減している。
- 外来治療では十分な治療効果が得られない時は、入院治療が有効なこともある。