ベル麻痺では約7割が自然治癒するのに対し、ラムゼイ・ハント症候群では自
然治癒は3割程度しか見込めないので、発症早期からの積極的な治療が必要で
あり、急性期治療には抗ヘルペスウイルス薬とステロイド薬を使用する。VZV
の増殖抑制には、抗ヘルペスウイルス薬の投与を麻痺発症から3日以内に開始
することが重要である。また、顔面神経麻痺には、浮腫や炎症による神経変性
を予防するためにステロイド薬の投与を5日以内に開始することが望ましい。
 日常診療では確定診断を待ってからではなく、初診時から必要十分な治療を
行い、病因や重症度が確定したら不要な治療を減らしていく、いわばステップ
ダウン式に治療を行うことが重要である。例えば、経口抗ヘルペスウイルス薬
は、HSV-1とVZVで投与量が異なるため、より高用量を必要とするVZV に対する
用法・用量で治療を開始し、後日HSV-1によるベル麻痺と判明したらHSV-1に対
する用法・用量に切り替える。ステロイド薬は1mg/kg/日で治療を開始し、経
過を観察しながら漸減していく。これは、確定診断後の治療開始では病状が進
行してしまい、治療目的である神経変性を防止することができないからである。


ラムゼイ・ハント症候群の 初期診療のポイント
http://famvir.jp/3_pathema/dn/dn04.pdf
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