世界の人口は、現在の76億人から2050年には98億人と、約30%増加すると予想されている。
人口が増えれば食糧需要も増える。
国連食糧農業機関(FAO)は、2050年には世界全体で2009年の食糧生産高に比べ、70%増の食糧生産が必要になると警告する。

人々は豊かになるに従い、肉や魚などのタンパク質をより多く求める。
例えばアジアにおける牛肉の消費量は、今後10年で44%拡大するとみられている。

その一方で、食用家畜の飼育は地球環境に甚大な影響を及ぼしている。
家畜の数は20世紀に激増し、いまやニワトリは200億羽、牛は15億頭、羊は10億頭にのぼる。

牛を育てるために酸素の供給源である森林を失いながら、世界の土地の20%を家畜のために使い、家畜から出る二酸化炭素も温暖化に悪影響を及ぼしている。
FAOによると、人間の活動から生じる温暖化ガスの14.5%は家畜によるものだ。

淡水の消費量も凄まじい。
トウモロコシや小麦を1キログラム生産するのに必要な水は1500リットルだが、牛肉1キログラムを生産するには1万5000リットルの水が必要だ。

■きたるべき食糧不足を解消するには…

食糧を確保するには、人間がいまよりも昆虫を食べ、人工肉を食べ始めることしか食糧難や水不足を補えない。
フランス南西部にある昆虫養殖会社では、人間が食べるためのコオロギを生産している。
今後、人類はタンパク質を摂取するために、昆虫類を積極的に食べること以外に餓死から逃れる術はない。

FAOによれば、昆虫は最大で牛肉の約3倍のタンパク質を含み、現在20億人近い人間の胃袋が必要とする食事の不可欠ないしは補助的な要素となっている。
しかし、昆虫食がさらに普及するためには、多くの人が昆虫食に対して抱く“気持ち悪い”との拒絶感を克服する必要がある。

「昆虫を家畜の飼料にするという選択肢もあります。
有機肥料で穀物を栽培する代わりに、ハエやウジを育てて牛やニワトリや養殖魚に食べさせるのです」(サイエンスライター)

人間も“気持ち悪い”を克服して、餓死を避けなければならない時代が、すぐそこまで来ている。

http://myjitsu.jp/archives/37095