リニア不正捜査 「課徴金減免制度」で見える化?
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO2481233019122017000000/

リニア中央新幹線の建設工事をめぐる入札談合事件で、
東京地検特捜部の調べに対し大林組が大手ゼネコン4社による
受注調整を認めていることが分かった。
公正取引委員会には独禁法違反を自主申告したもよう。
背景には「課徴金減免制度」(リーニエンシー)があるとみられる。どのような制度なのか。

リーニエンシーとは、カルテルや談合に関与した企業が公取委に
「自首」した場合に、課徴金を減額する制度だ。
対象は早い者順で最大5社、公取委の調査開始以降は3社まで。
減額率は最も早く報告した企業が100%、2位が50%、
3〜5位が30%。調査開始後は一律30%となっている。

欧米の独禁捜査で成果を上げていることを受け、日本では2006年に導入された。
既に11年が経過し、関係者の間では習熟された運用がなされている。
同制度による公取委への「自首」は16年度は124件だった。

カルテルや談合が発覚しそうになった局面で「自首競争」となるため、
イモずる式に不正が暴かれ、結果として課徴金命令を受ける
企業の数が増えるケースもある。例えば東日本大震災で被災した
東北地方の高速道路の復旧工事を巡る談合では、公取委が16年9月に
NIPPO、前田道路、日本道路など11社に総額14億円の課徴金納付を命じた。
世紀東急工業はリーニエンシーで全額免除となった。

自首の遅れで企業の経営陣が負うリスクも指摘さてれいる。
05年から10年にかけて起きた光ケーブルや電線などを巡るカルテルでは、
住友電気工業が計88億円の課徴金を納付。経営陣がリーニエンシーを
活用せず会社に損害を与えたとして、株主代表訴訟が起こされた。
14年に和解が成立したが、当時の経営陣22人は約5億2000万円の
解決金を会社に支払うことになった。